あしなが育英会

あしなが育英会とは、交通遺児、災害遺児、病気遺児など国内外の遺児を支援する民間の非営利組織(NPO)ですね。現在のあしなが育英会は、1983年に始まった災害遺児の奨学金制度をつくる運動から災害遺児奨学金制度が1988年に発足、さらにその奨学金で進学した災害遺児が病気遺児の奨学金制度づくりを呼びかけから1993年に発足した病気遺児奨学金制度に合わせて、あしなが育英会が誕生したのですが、その歴史は古く1967年に無残な交通事故で最愛の肉親を亡くした2人の青年の出会いが運動の始まりです。

この2人の呼びかけに勤労青年、学生、主婦らのボランティア10数人が応じ「交通事故遺児を励ます会」の旗揚げ街頭募金が1968年10月に始まりました。そして、交通遺児作文集『天国にいるおとうさま』が大反響を呼び、衆議院予算委員会での「政府は交通遺児の育英財団づくりに手を貸し、助成せよ」との異例の決議から活動が広がり、1969年5月、財団法人交通遺児育英会が設立されたのです。

それから前途多難な20数年を乗り越え発足された病気遺児への奨学金制度と合併し、あしなが育英会が誕生したのですね。名も明かさず、そっと遺児を支え続けるアメリカの小説『あしながおじさん』(ジーン・ウェブスター著)の内容にちなんで命名されたあしなが育英会ですが、支援を行ってくれる“あしながさん”が中心になり運動を起こし発足した団体ではなく、街頭募金にお金を入れてくれる方や奨学金を継続的に送金してくれる“あしながさん”への「恩返し運動」として交通遺児の高校生・大学生の活躍で誕生したことが最大の特徴ですね。

“あしながさん”の支援により進学できた交通遺児たちの恩返しが病気遺児たちの支援を行い、そして自然災害からも生まれる災害遺児たちへの支援と広がり誕生したのが、あしなが育英会なのですよ。

あしなが育英会の奨学金制度

あしなが育英会の奨学金制度は、病気や事故、災害、自死(自殺)などにより親を亡くした子供に対し、高校、大学、専門学校に通うための奨学金を貸与する制度です。そして、あしなが育英会の奨学金はアメリカの小説家ジーン・ウェブスターが1912年に発表した小説“あしながおじさん”の内容のように“どこかの誰か”が“どこかの遺児”に毎月いくらかのお金を育英会を通じて贈るという奨学金制度なのです。

あしなが育英会設立の歩みの中でも『遺児に高校進学を!』との高校進学支援に力を注いでいたように現在でも経済的に厳しい家庭の遺児高校生には、全員に貸し出しを目指しているため高等学校奨学金の募集人員が一番多く、国公立2万5千円、私立3万円が貸付月額の奨学金となっていますね。

その他には、大学・短大奨学金(一般4万円、特別5万円/月額)、専門学校奨学金(4万円/月額)、大学院奨学金(8万円/月額)と医学・薬学・看護学を専攻する大学生らだけを対象とする、医療関係の篤志家が特定寄付されたオンコセラピー奨学金(5万円/月額/半額給付)制度があります。また、私立高校入学一時金(30万円)、私立大学入学一時金(40万円)と入学一時金の奨学金貸与も用意されています。

あしなが育英会の奨学金の返還は、奨学金貸与が終了して6か月後から20年以内に、年に1回(12月)、半年に1回(12月と6月)、または毎月返還のうち、いずれかの方法で返還となっており、入学一時金は奨学金返還と同時返還です。利息は、奨学金、入学一時金ともに無利子です。そして、さらに上の学校へ進学したり、生活困窮などで返還が著しく困難になった場合は、願い出によりその間の返還開始時期を延期する返還猶予や奨学金を利用していた本人が死亡したり、心身障害になるなどで返還ができなくなった場合は、保護者等からの願い出により未返還額の全部または一部が免除される返還免除が、あしなが育英会の奨学金制度には組み込まれています。

あしなが育英会とあしなが学生募金

あしなが育英会は、遺児高校生・大学生たちの活動で誕生しました。そのあしなが育英会の奨学金で進学した遺児高校生・大学生たちが行う大きな活動のひとつが、街頭で行う遺児の進学支援のための学生募金であるあしなが学生募金です。

そもそもあしなが学生募金とは1970年に秋田大学の春の大学祭で交通事故遺児救済のための募金を行ったことから始まった秋田大学の学生ボランティアの学生募金でした。そして秋田大学のボランティア有志が全国の大学クラブに呼びかけ拡大していったものをその募金による奨学金で進学した遺児高校生や大学生らが募金活動の主体となり、現在のあしなが学生募金へと引き継いでいます。

あしなが学生募金の街頭募金は、毎年4月と10月の2回を全国の県庁所在地や各主要都市駅前・街頭などの全国500箇所で週末4日間(土日だけ2週間)をかけて行われており、この街頭募金の規模は日本の民間募金活動では最大と言われているのです。

そして、このあしなが学生募金で集まった募金は、全額あしなが育英会に寄付されていて、主にあしなが育英会の奨学金に利用されています。一部は国内外のレインボーハウスと呼ばれるケアハウスや遺児が都会の私大へ進学できるための支援を目的としたあしなが心塾や虹の心塾などと呼ばれている学生寮の建設などにも使用され、遺児たちの心と物のケアに活用されているのです。

遺児高校生や大学生が中心になって組織し、この活動に賛同する学生ボランティアも応援して行っているあしなが学生募金は、手を振って応える足の長い紳士の後ろ姿のイラストを描いた募金箱や旗を目印に行っています。あしなが学生募金の歴史は、「同世代の若者の問題を見過ごすな」と交通遺児救済から始まり、成長した交通遺児が災害遺児へと広げ、その後病気、震災、そして自死遺児へ手渡しで支援の輪を広げてきた遺児支援の大いなる友愛と歴史のある学生募金なのですね。